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-第10章- カミグセ

ここに来てから1週間ほど、マミィはぼくのカミグセ(噛み癖)に悩まされた。
「まるでリストカットをしているか、DV(家庭内暴力)でも受けている人みたい…」と、青色や紫色になった傷だらけの自分の手や腕を見つめた。ぼくにはリストカットもDVも、何のことやらわからない。

ぼくのこの噛み癖のせいで、マミィはだいぶストレスがたまってきて疲れているようだった。

ぼくをこの家に迎える決心をする前、実はいくつかの選択肢があった。
盲導犬になれなかったキャリアチェンジ犬を引き取る、被災犬を引き取る、あるいは捨てられて愛護センターなどに持ち込まれた犬を引き取る…などだ。

でも、ダディもマミィも大人になってしまった犬を躾ける自信がなかったので、やっぱり子犬から育てよう…と、ぼくを選んだ。
それなのに、噛み癖でこんなにも苦労するのなら、成犬を引き取っても同じだったのではないか、その方がもしかしたらよかったのかもしれない…と後悔さえし始めていたようだ。

噛み癖 1

マミィは犬の行動学や躾けの本を何冊も読み、ネットでも必死で解決策を探した。
しかしどれを試してみても、ますますぼくの噛み方が強くなってしまうだけだった。
特に、仰向けにひっくり返して鼻先を押さえつけるという方法は最悪だった。
マミィ自身、こういう暴力的な方法は好きになれなかったし、ぼくもこれはひどく苦痛で気持ちが荒れた。

とうとうマミィは自力だけではとても無理だと限界を感じ、専門家に助けを得ようと、ぼくの生まれた訓練所にメールを送った。
ところが翌日メールの返事を読んで、たいそう腹を立てていた。ダディもそれを読んで、憤慨した。

そこには「サークルから出さないようにしたらどうですか?」とか、「幼い時に噛む事に加減が出来ないのは、全く正常で異常ありません」などと書かれていた。

「6ヶ月くらいから、徐々に加減しますが、その頃までは兄弟と遊んだり、喧嘩しているつもりです」と。
また「こちらではたくさんの犬の世話をするのは、二十歳前後の女の子たちですが、噛まれて困るほどの相手はしません」
「常に犬とは一歩距離をとるようにした方がうまくいく」などとも。

ラブはすぐに大きくなる。
5ヶ月や6ヶ月になったらほぼ成犬の大きさなのに、それまで噛み加減ができなかったら危険だとマミィは思った。
小さな子が近寄ってきたりしたら危ないから、散歩にも連れて行けなくなる。
この返事を書いた人は、本当にラブのことがわかっているのだろうか…と。

それ以外にもひどく上から目線の言葉が連なっていて、きっとこれを書いたのは、この文面に出てくる「二十歳前後の女の子」なのだろうと感じた。

噛み癖 2

マミィは子どもの頃にも犬を飼っていて、それはラブではなかったけれど、その犬が小さかった頃にも噛んだりはしなかったし、その犬が大人になり3回ほど出産した時の子犬たちもそうだった。
すずばあちゃんもごくうさんも然り。
軽い甘噛みはあっても、たいていは痛いほどには噛まない。
うっかり強くなってしまったような時には軽く叱るだけで、すぐに噛まなくなったものだ。
最初から思いっきり噛んできたりはしない。
叱られてさらに強く噛んでくるようなこともなかった。


とにかく、あまりにもその物言いに腹が立ったマミィはこんな返信を送った。

『早速のお返事ありがとうございます。
ただ、こちらの状況がきちんと伝わっていないようですので、残念です。
(伝え方がいけなかったのかもしれませんが…)

前の犬たちと比較するのが良くないことは承知していますが、性格が違うので、前の子たちと同じ方法ではうまくいかないだろうと考えました。
人間でもそうですが、それぞれの子どもで特徴があり違いがあるので、それはそれで受け入れ、その上で、その個性を生かした躾けができないものか、上手に対処できないか…と考えてご相談しました。

正常であるとか、異常であるとかの問題ではなく、この子にはこういう特徴があるけれども、こういう子にはどう関わっていけば噛み癖をなくして、上手に躾けられるのか…ということに対するアドバイスをお願いしたつもりでした。
こちらとしても、こんなに噛む子は初めての経験ですので。

またさらに申し上げれば、ご指摘されたような、噛んでもそのまま触り続けるようなことはしていませんし、不必要に触りすぎるようなこともしていません。
手は出さずに、危ないことをしないようにそばで見ているだけです。

そちらでは、二十歳前後のお嬢さん方が世話をされているとのことですが、ブリーダーさんとしてたくさんの子犬の世話をするのと、家族として一頭に関わっていくのとでは、根本的に大きな違いがあるように思います。

私たちは販売する子犬を世話するのではなく、家族として一緒に生活するために『育てている』のですから。
中学生の娘も、「アルマは噛むので恐い」と言い始めているので、これは子犬にとっても、私たちにとっても早めに対処していかないとまずいと感じ始めて、アドバイスをお願いしたのです。

もう少し様子を見て、こちらなりに模索してみようと思います。
私たちはプロではありませんが、これからこの子とは長く(恐らく10年以上になるでしょう)付き合っていくのですから、プロのブリーダーさんの方法ではなく、『家族として』楽しく平和に暮らしていけるように、私たち家族に合った対処方法を探ってみます。

お電話はしないことにしました。大変お世話になりました。』
 

ダディはそれを読んで、「よくそのくらいで抑えたね。オレならもっと怒ってる」と言った。

 噛み癖 3

翌朝、訓練所のオバチャンから電話があり、
「メールを読んだ者が失礼な事を言ったようで申し訳ありません」というお詫びがてら、いくつかのアドバイスをしてくれたようだった。
たとえば、噛まれたら逃げない。手を口の奥に突っ込むなど…。
でも、それらの方法はすでにマミィがやってみて、すべて効果のないものばかりだった。
 
マミィはあのメールですっかり訓練所への信頼を失くしてしまっていたので、「それは全部やりました」とも言わず、とりあえず「わざわざありがとうございました」とお礼を言って電話を切った。
そして、つぶやいた。
「それぞれの犬で個性が違うのに、十把一絡げで言われてもねぇ…」。

「この人を噛むと痛いことをされるからしない」という教え方だと、ダディやマミィを噛むことはなくなっても、マユチャンのことはまだ噛むかもしれないし、よその子どものことも噛むかもしれない。
『服従心』というようなものではなく、『噛むのはいけないこと』とわかって欲しい…というのが、マミィの考えでもあった。
ラブはそういう理解ができる賢さをもっているはずだと。

その日、ぼくがまたカプッとやってしまった時、マミィは何も言わずにぼくに覆い被さった。
ちょうど『上から物が落ちてくるときに子どもを守るような体勢』と言えば、わかりやすいかな?
そうやってしっかりとぼくを押さえ込んだ。不思議とぼくは何だか落ち着いて、噛むのをやめた。
その時から、ぼくがカプッとやるたびに、マミィはそうやって、素早く、ぼくを抱きしめるように上に覆い被さる。

マミィはそれを何かで読んだのでも、聞いたのでもなく、思わずした行動だったのだけれど、それが何と、ぼくを落ち着かせるのに効果があったのだ。

噛み癖 4
 
今では、マミィの手から青色や紫色のアザも傷も消えている。
相変わらずつい強く噛んでしまうことが、たまにあるんだけどね。

マミィはある日気づいた。
フツーの子犬ならぺろぺろするところをぼくの場合、パクッとなってしまうことに。

「遊んでよぉ」…パクッ。
「楽しいなあ」…カプッ。
「あ、マミィの手だ」…ガリッ。

今も、つい興奮するとそうなってしまう。
 
噛み癖 5

マミィは前にも感じたように、ぼくは母犬や兄弟犬との関わりが少なくて、噛み方を加減することをしっかり学んでこなかったのではないかと、今もそう思っている。
 
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