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-第173章- アルマくんの本棚(1)

すずばあちゃんが年老いて亡くなり、そのちょうど1年後にごくうさんを幼くして亡くしたとき、もしもまたわん子を家族に迎えるのだとしたらもっとよく知らなければいけないと、犬の行動学やありとあらゆる犬に関する本を、マミィはあれこれと手当たり次第に読みあさった。



2ヶ月で12冊ほど




仕事をしていてあまり時間がないので、1日にせいぜい30分くらいだったけれど、それでも8月からぼくが来る10月初旬までの2ヶ月ほどの間に12冊ほど読めただろうか。

ぼくが来てからはまったく時間がなくなり読めなくなってしまったけれど、まだまだ読みたい本が山積みしている。
最近は、マミィがテーブルの上に何かを載せて用事をしていると、ぼくもあきらめムードになっておとなしくしているので、また読めるかも…と、マミィは淡い期待を抱いているようだ。



これ、お気に入り
これが、特にお気に入り




さて、その読んだ中で特にお気に入りなのが、『デキのいい犬、わるい犬』(原題:The Intelligence Of Dogs)という本だ。
なぜ邦題をこんなへんてこりんにしたのだろうと、マミィは不思議に思っている。
ストレートに『犬の知性』の方がわかりやすいでしょうに、と。

まぁ、それはともかくとして、今日は、『デキのいい犬、わるい犬』…最後の章の最後のお話をアルマくんが紹介します。



すずばあちゃんと兄弟犬たち
これは、すずばあちゃんと兄弟犬たち





ショットガンはチョコレート色の大きなラブラドール・レトリーバーだった。

-中略-

時が流れ、ショットガンは11歳になった。

ラブラドール・レトリーバーとしては老犬である。
動きは緩慢になり、ソファに飛び乗るのもあきらめていた。
以前より眠ってばかりの時間が増えたが、
子どもたちとはまだ少しのあいだ跳ね回って遊び、
それを自分の使命と考えているようだった。



ウチに連れてこられる日の朝
ウチに連れて来られる日の朝



走り方は遅くなり、
ボールやフリスビーを追いかけて高く跳ぶこともできず、疲れやすくなった。
耳も遠くなり、反応も鈍く、
昔習ったたくさんの命令にもあまり確実に応えられなかった。

それでもまだ以前と変わらないところは多かった。
散歩の時間はちゃんとわかって、午後の三時ごろになると
必ずうれしそうにドアの近くに坐り、
子どもたちが学校から帰ってくるのを待っていた。

夜は居間の真ん中の床に寝て、
きまって一時間おきぐらいに家の中を見回った。
子どもたちの部屋に順番に鼻を差し込んで匂いを嗅ぎ、
フレッドとクララの様子をたしかめてから、また居間に戻るのである。



がうがう
がうがう




ある夏の夜のこと、
ショットガンは何かが絶対に変だと感じて起きあがった。

家の中には煙がたちこめ、窓や部屋のドアが開いていなければ、
そこらじゅうに有毒ガスが充満していたにちがいない。

犬は家人を起こそうと激しく吠えたが、あたりは静まりかえったままだった。

関節炎ぎみの身体で、
できる限り急いでフレッドとクララの部屋に走った。
吠えてもふたりはまだ起きようとしない。

そこで犬は痛む脚を引きずりながら必死の努力でベッドに跳び上がり、
フレッドの胸に前足をのせて大きな声で吠えた。

フレッドはただならぬ気配にぎょっとして目を覚まし、
すぐに煙に気づいてクララを起こした。




兄弟たちに別れを告げ
兄弟たちに別れを告げ



フレッドとクララは幼いふたりの兄弟の部屋に走り、
ひとりずつ抱きかかえると、
いまや炎がめらめらと燃えさかる家からやっとの思いで外に逃れた。

ふたりともメリッサの名前を繰り返し叫んだ。
彼女はもう九歳になっていたから、物音や騒ぎに気づいて目を覚まし、
家の裏手にある寝室から飛び出して来るだろうと考えたのだ。

ふたりが前庭の芝生にたどり着いて振り返ると、
家の大半は火に包まれていた。

消防車が到着したがメリッサの姿はどこにもない。
フレッドは家の中に戻ろうとしたが、
はだしの脚では熱と炎に耐えられず、やむなく引き返した。



我が家にやって来た
わが家にやって来た




ショットガンは、まだ家の中だった。

老いた頭のどこかで思い出して数をかぞえ、
自分の使命がひとつ足りないと考えたのだろう。

彼はよたよたとメリッサの部屋に入り、
煙に巻かれ、びっくりして泣いている彼女を見つけた。

ショットガンは吠えながらドアのほうへ誘導しようとしたが、
メリッサは理解できなかったのか、
混乱しすぎてどうすればいいかわからなかったのだろう。

そこで彼はそっと彼女の寝間着のふんわりした袖をくわえ、
ドアのほうへ引っ張り始めた。

正面から出ることはとてもできなかったので、老犬は向きを変えると、
おびえきった少女をなかば引きずるようにして裏口のほうへ連れて行った。

まわりじゅうに炎が渦巻く中で、彼らは裏の網戸の前にたどり着いた。
網戸には簡単な掛けがねがついているだけだった。

若くて敏捷な時代であれば、
ショットガンは網戸に体当たりして穴をあけることもできただろうが、
そのときは越えがたい障害に思えた。

メリッサはあまりの衝撃に呆然と立ちつくすだけで、力にはならない。
ショットガンはくわえていた袖口をいったん放して、
うしろ脚で立ち上がった。

そして網戸の掛けがねを鼻で押し上げた。

数年前、これをやってこっぴどく叱られたことがある。
若かった彼は、
裏庭に入りこんでは小さな野菜畑を掘り返す厄介なフォックス・テリアをこらしめるために、
こうやって裏口を開けては跳び出したのだ。



小さい時からちゃんと噛んでいたよ
小さい時からちゃんと咀嚼していたよ



ショットガンの手際は昔のように器用にはゆかず、
掛けがねを押し上げながら皮膚を破いた。

それでも懸命に続けたおかげでかんぬきがはずれ、ドアがあいた。

ショットガンはもう一度メリッサの袖をくわえると
裏庭の真ん中まで引っ張ってゆき、
そこで彼女を放すと火傷した前足をなめ始めた。

しばらくして消防士たちがやってきた。

メリッサはショットガンの首を抱き、
網戸の掛けがねをはずすときに怪我をした鼻面をなでながら、
しくしく泣いていた。



お行儀がいい
お行儀がいい



ショットガンは年をとり、以前よりも動きが鈍く反応も不確かだった。

それでも彼は家を守る役目をみずから受けて立ち、
その知性と問題解決能力をひたすら主人の安全と幸せに捧げきったのである。

老いすなわち無能、役たたず、疲弊では決してない。
ショットガンはその夜、偉大な知能を発揮した。



おっとりしていて、やさしく、おとなしかった
すずばあちゃんはおっとりしていて、穏やかでやさしかった



彼は何かがおかしいと考え、
眠っている主人を起こして警告を与えるという問題を解決した。

彼は子どものひとりが欠けていると判断し、
彼女を家から運び出すという難題に答えを出した。

正面の戸口が火に包まれていると予知して別の解決法を見つけ、
掛けがねのはまった裏口のドアを前にすると、
脱出する邪魔をする最後の問題を解いた。

彼の群れを構成する五人の人間、
彼の家族であり主人である人間たち全員が、
この老いた脳の情報処理と問題解決能力のおかげで命を救われたのである。


『デキのいい犬、悪い犬』(スタンレー・コレン著/木村博江訳)/文春文庫

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